ⓔコラム9-2-10 SPRINT (Systolic Blood Pressure Intervention Trial) 試験

 2015年にNew England Journal of Medicineに発表された1万人弱の糖尿病と脳卒中既往を除くハイリスク高血圧患者を対象に120 mmHg未満に厳格降圧することの意義を明らかにしたRCTで,その後の各国の高血圧診療ガイドラインに大きな影響を与えた.OABP (医師のいない場所で5分間の安静後の自動血圧計による3回血圧測定の平均値) という特殊な血圧測定法ではあるが,120 mmHg未満の厳格降圧群で140 mmHg未満の通常降圧群より一次エンドポイント (心筋梗塞 (MI),その他の急性冠症候群,脳卒中,急性非代償性心不全,心血管死の複合エンドポイント) を抑制したと報告された.欧米では心不全はソフトエンドポイントと考えられて一次エンドポイントに含まれないことが多かったが,スタチンやRA系阻害の普及により動脈硬化性疾患が減少して心不全が循環器疾患の重要なアウトカムを受けて一次エンドポイントに採用された.この結果をもって厳格降圧の重要性が再認識されて米国ガイドラインでは高血圧の診断が130/80 mmHg以上となるきっかけとなったが,心不全が一次エンドポイントに入っていなかったと仮定すると厳格降圧群と通常降圧群でまったく差がなく,ガイドラインも大きく変わっていただろうと推定される.

〔大石 充〕